CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

元気な企業インタビューとは

 八王子市で活躍する元気な企業をご紹介いたします。“キラリ”と光る独自の技術やユニークなサービスで注目の企業経 者にインタビュー。 人物上や体験談にスポットを当てた地域企業の発信コーナーです。企業の実力の詳細が掲載されていることから、お客様のニーズに見合った パートナー先を的確に探すことが出来ます。
 「@Co.Hachioji」の内容は、資本金、業種、従業員といった一般的に見られるデータベース的な紹介ではなく、過去のエピソードや得意とする技術話など、 社長の人物像を中心に読み物的に紹介されております。紹介企業の内容が分かりやすく掲載されており、これを起点にビジネスに発展したケースが数多く出ております。

第99回 吉田観賞魚販売株式会社

 

『くらしに潤いを与える』

取材先 吉田観賞魚販売株式会社(代表取締役 吉田 俊一氏)

所在地 東京都八王子市松木13-1

電話 042-676-7113

URL http://yoshida-fish-farms.com/

今回、取材を行った吉田観賞魚販売株式会社は、祖父・吉田 定一氏によって創業し、観賞魚販売(鯉)に特化した。現在は、主な事業である観賞魚販売はもちろん、園芸専門店、ガーデニング工事設計施工、レストラン経営、近年では地域イベントにも率先して参加されるなど、活躍されている代表取締役社長・吉田 俊一氏に話を伺った。

                 代表取締役 吉田 俊一氏  

事業承継

大正10年に村長の勧めで祖父・吉田定一氏が掘った「掘り抜き井戸」がきっかけとなり、食用の鯉の養殖から始まった。先代に代わり昭和30年代から錦鯉や金魚の卸業を行う中で、少しずつ錦鯉を海外に輸出した。
吉田氏は「幼少期から時期が来たら、会社を承継する事を感じていた。就職を迫られる時期になり、これからの時代は卸業より小売業の時代が来ると肌で感じていた。」と語る。
そこで、事業を承継する事を視野に入れながら、小売業でトップを走っていた某大手企業に就職した。配属先では、多くの事をお客様から学び、新店舗設立を機に、家業を継ぐために退職した。
吉田氏が学んだ小売業の経験を活かし、当時では卸業が小売業を行う事はとても珍しく同業者から反発を受けたが、昭和60年に総合ペット園芸小売店のガーデンコア・ヨシダをオープンした。吉田氏は、「新しい分野の小売業にチャレンジする事もあり、お客様がいらっしゃるか不安に感じていた。実際にオープンして多くのお客様が、店舗にいらっしゃっる姿を見て自信に繋がった。」と当時の思いを語る。
平成2年に突然先代が亡くなり、32歳の若さで事業承継を経て現在の代表取締役に就任して、現在に至っている。

熱帯魚ブーム&輸出事業拡大

平成に入りバブル期には、各家庭で楽しめる大きさの水槽と熱帯魚が飛ぶように売れて、国内の業績も非常に順調でした。一方で同業者が国内に目を向けている中で、先代から始まった輸出の観賞魚の卸業にも力を入れた。
アジアでは、鯉は立身出世の縁起物として取り扱っている一方で、ヨーロッパでは、池や庭を含めた全体をデザインする考え方でした。そんな中、日本の錦鯉を受け入れる文化の土壌もあり、香港からスタートして徐々に海外のお客様と繋がりが出来てきて、口コミで取引先をシンガポールやヨーロッパなどに広がった。また、イギリスでは英語でセミナーを開催し、錦鯉を通して日本の文化の魅力を伝えた。
吉田氏の努力が実り輸出事業は、順調に業績を伸ばし輸出のため週3回程度、観賞魚を成田空港から各国に輸出して事業を伸ばした。

熱帯魚ブーム終焉&コイヘルペスによる被害

順調だった熱帯魚の分野に平成9年からホームセンターが参入した事により、業界の価格破壊が起こり、熱帯魚の安売り競争の市場となり、厳しい業界に変化した。現状の経営では難しいと判断して考え続けた末に、その年に観賞魚の卸業を縮小し、ガーデンコア・ヨシダを小売部門の専門店化したヨシダフィッシュファームとイギリスの要素を取り入れたグリーンギャラリー・ガーデンズの2つに分けた。改装工事は、2ヶ月間の短期間で工事を行った。
また平成18年には、丹精を込めて育てた鯉がコイヘルペスに発症して、在庫金額で約1億円の鯉を処分する事になった。吉田氏は「大好きな鯉を処分しなくてはいけなくなり、当時を思い出すと今でも心が苦しくなる。」と辛い経験を語る。

 

非日常の環境

苦難の連続で我慢の経営をする中で、本来なら店舗を作る際は、ターゲットになる顧客を絞って戦略を練る事が主流でしたが、自分たちが良いと感じる空間をお客様に提供をしようと平成23年に長年培われていた経験と海外の良い部分を取り入れた大胆な改装工事に踏み切った。店舗の改装にあたり拘った事は、新建材を使用しないで、「自然」・「鉄」・「石」・「木」など時間とともに味が出る素材を使用した。
そして、価格ではない品質優先の植物を揃えたり、海外でアンティークや雑貨などの買い付けをしたり、日本に無い物を揃える事により、競合他社と差別化を図った。
また、新たな事業として直接農家さんに出向きセレクトした美味しい野菜を販売するガーデンズマルシェをオープンした。その後、販売している食材を使用した料理を提供するレストランAu coju(オコジュ)をオープンした。
吉田氏は「マルシェやレストランの経営ノウハウはないが、業界の考えに囚われずにお客様の目線で考える事が出来る。そこを我々の強みになると信じて、試行錯誤を行いました。その中で、お客様からお褒めの言葉をいただく事が増えて、自信に繋がった。」と語る。

     Water Hill Garden             Water Hill Garden(マルシェ)

企業を支える専門性の高い従業員

観賞魚業界の問題点として吉田氏は、「高い専門店や売りっぱなしのホームセンターが増えている。犬猫の業界は獣医がいるが、観賞魚には魚医はいない。その中で、どこに相談したらよいのか分からないお客様が増えている。当社では、日本観賞魚振興事業協同組合の観賞魚飼育管理士の資格を取得する従業員や経験豊富な従業員が新人に飼育の仕方、水の作り方、病気の治療方法など指導をする環境が整っており、専門性の高い従業員がお客様の接客を行っている。また、海外に年2回の予定で開催される錦鯉のセミナーで訪問するシンガポールなどや、海外でのアンティークの買い付けなどに、従業員の教育の一貫として同行させて、物の見方など目利きが出来るように従業員の育成も行っている。」と語る。

地域の活動

地域の活動について吉田氏は、「商売の基本はお客様に喜んで貰う事から始まるが、その前段階として、地域がより元気になる必要があると感じている。多摩ニュータウンになってから地域の人口が増える一方で、地域の交流が薄れていると感じていたので、絆を深める必要があり、地域に住む新旧の住民同士の交流が必要と感じていた。」と語る。
そんな思いから、平成27年から地元大栗川公園を会場としたキャンドルリバーを実施している。イベントの参加者は近所にある小学校の生徒から100名以上のボランティアなどの協力を得て地域を巻き込むイベントとなっている。また、毎月の第3水曜日に由栗(ゆっくり)交流会と題して、レストランAu coju(オコジュ)を開放し、地域の絆を深めるために交流会を開催している。

                                                                キャンドルリバー風景

これから目指すところ

今後の展開について吉田氏は、「長年培われた生き物が生きられる環境で、澄んだ水を作り出すノウハウを活かした事業と英国式ガーデンセンターを取り入れたグリーンガーデンギャラリーガーデンズの他にない商品と雑貨売り場の充実と個人のお客様を大切に考えて、ガーデニング工事設計施工にも力を入れる。また、長年かけて海外の良い物を見てきているので、自分の経験と融合させて店舗を陳腐化させないように常にお客様に刺激を与えて行きたい。」と熱く語る。

編集後記
 今回の取材を通じて、人を幸せにする3つの要素について、吉田氏から教えていただきました。1つ目は「非日常の空間」、2つ目は「趣味を楽しむ」、3つ目は「食の満足」。
取材後、3つの要素が織り成すWater Hill Garden(イギリス風ガーデンセンター)の見学をさせていただきました。観賞魚エリアや園芸エリア、またはマルシェやレストランAu coju(オコジュ)など、吉田氏にしか造り出す事が出来ない素敵な空間と時間を積み重ねる事により、味が出る店舗の作りになっているので、何度訪れても飽きない地域に溶け込んだ八王子を代表する企業だと感じた。

 (取材日2018年1月12日)