CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

元気な企業インタビューとは

 八王子市で活躍する元気な企業をご紹介いたします。“キラリ”と光る独自の技術やユニークなサービスで注目の企業経 者にインタビュー。 人物上や体験談にスポットを当てた地域企業の発信コーナーです。企業の実力の詳細が掲載されていることから、お客様のニーズに見合った パートナー先を的確に探すことが出来ます。
 「@Co.Hachioji」の内容は、資本金、業種、従業員といった一般的に見られるデータベース的な紹介ではなく、過去のエピソードや得意とする技術話など、 社長の人物像を中心に読み物的に紹介されております。紹介企業の内容が分かりやすく掲載されており、これを起点にビジネスに発展したケースが数多く出ております。

第108回 (株)マン・マシンインターフェース

『仲間の繋がりを大切に、居場所を大事に』

 

取材先 (株)マン・マシンインターフェース(代表取締役 関口 哲也 氏)
所在地 東京都八王子市横山町6-9丸多屋ビル3F
業 務 ソフトウェアの研究・開発、インフラ構築
TEL 042- 631-3531
H P www.mmi-sc.co.jp/

 

 

昨今のデジタル技術の進歩は目覚ましく、ビジネスを取り巻く環境は日々変わっています。特に近年はコロナ禍も相まって、人々のライフスタイルは急激に変化しています。

 

また少子高齢化も進み、人材不足の企業割合は年々多くなっています。

 

政府は急激なライフスタイルの変化や人材不足の課題に対応すべく「求職者のリスキリング」と「企業へのマッチング」を支援しようと動き始めています。個人のスキルを上げることによって、技術進歩や経済の変動が生み出す新しい職業への移行をしやすくし、労働者の雇用機会と生産性を向上させることが狙いです。

 

どんどんと個人の力にフォーカスしてゆく時代ですが、その一方で『仲間の繋がりを大切にし、居場所を大事に』している八王子のIT企業もあります。それが(株)マン・マシンインターフェースです。

 

今回は代表の関口社長から、同社の歴史や目指す未来について語っていただきました。

 

現場のみんなが頑張ってくれているおかげ

関口社長と話をさせていただき一番感じたのは、何よりも従業員ファーストであることだ。

 

御社の強みはなんですかと伺ったとき、「そう言われると、少し困るんです。技術的に尖っている部分はないので」と関口社長。そして続けて「けれども会社の行動指針にもあるように、みんなプロフェッショナルである意識は高いし、お客様に対して真摯に向き合ってくれています。常駐先の現場でみんなが頑張ってくれているおかげで、次の仕事に繋がったり、安定的に仕事をいただけたりしています」と話す。

 

また、今後チャレンジしたいことを伺うと、「仕事のスタイルを現地常駐のSESから事務所中心とした受託開発に切り替えたいと考えています。というのも従業員のための環境整備をしたいんです。年をとると現地常駐するのは体力的に辛かったり、親の介護があったりします。若い人たちは良いがそういう年代の方も増えてきたので、いかに八王子で仕事ができる環境をつくってあげられるか考えています。新卒に仕事が出しやすくもなりますし」と関口社長は語る。

 

従業員のライフスタイルにまで考えがおよぶ、この気持ちこそが同社の強みだと感じた瞬間だった。

 

技術者から経営者へ

関口社長は創業者ではなく、1989年に技術者として同社に入社された。

 

2013年に、先代から『疲れたから代表を引き継いでくれないか』と言われて、先代62歳の誕生日を境に交代。技術職として雇われて外にでて働いていたが、その日から戻ってきて、社長のデスクに座ることに。

 

はじめは何をすればよいか分からず困ったものの、社長になってみたかった憧れの気持ちがずっと胸の奥にあり、「期待のほうが勝っていたように思う」と振り返る。

 

 

ガラケーバブルの終焉と、仲間との別れ

創業当初はFAXの組み込みソフトの開発を行っていた。その後、世の中はドコモがiモードを開発したことがきっかけで爆発的にガラケーが普及しガラケーバブルになった。同社でも設計から開発からテストから全て行い、その分野に10年以上携わってきた。

 

しかし、技術の進歩によりガラケー事業は下火に…。当時チームリーダーだった関口社長が、昔から共に働いてきた仲間をプロジェクトから切らなければならなくなったときは、本当に情けなくて悔しくて泣いたという。

 

「そのあたりから人に対しての関わり方がかわってきたかもしれません」と過去を振り返った。

 

事業多角化と現在の事業

もう一つ、ガラケー事業が下火になったとき、主要取引先だった大手のモバイル事業部が売却されてしまった経験はその後の経営方針にも影響した。取引先一社に依存していることに危機感を覚え、その頃から分野を広げていろいろな取組を行うようになった。

 

後継者に困っていたIT企業をグループ化したのも、その事業多角化の一貫として行った。人との繋がりを大切し、経営を引き受け、また一社依存体質の脱却を図っていった。

 

いまの組織は下記の部署に分かれて、幅広く事業を行っている。

 

組織・事業部


EE事業部・・・組込みエンジニアリング
SS事業部・・・SIソリューション:金融系インフラ、業務系システム、PMO
PS事業部・・・プロダクトソリューション:IT導入支援等


 

営業はほとんどしておらず、これまでの横の繋がり、時には競合からもお仕事がくる。
「本当にありがたいですね」と、関口社長は話す。

 

また、従業員の皆に伝えていることを教えて頂いた。

 

若手には「安定した取引先が多いのは、先輩たちが良好な関係を築いてきてくれたおかげです。だから先輩に追いついて、追い越せるように頑張ってくださいね」と。また、年配の方には「若手がいてくれるから、会社や給料体系が成り立っています。だから若手の育成や、どうやって自分のチームに若手を引き込むか、考えるようにしてくださいね」と伝えているという。

 

「自分だけスキルをあげてどんどん転職しようという風潮はとても嫌いです」と関口社長は話す。仲間の繋がりを大切にし、仲間の居場所を大事にしているからこそ、思い溢れる気持ちだろう。

 

「創業者ではなく、もともと技術者だったので、従業員の気持ちはよく分かります。従業員が働きやすいように、働くことの選択肢を増やしてあげたいですね」関口社長の信念と思いが胸に伝わってくる。

 

仲間と繋がるイベント

そんな社長の気持ちが伝わっているからだろう、従業員の皆さんの会社への帰属意識はとても高い。

 

四半期に1度、定期的に事業報告会を行ったり、リアルで顔を合わせるイベントを開催したりしていて、出席率は90%以上。ときには取引先の方も含めてバーベキューも開催しているという。

 

普段はお仕事で顔を合わせる時間が限られていても、定期的に会ったり会話できたりするのは、単に楽しいだけでなく、充実感にもつながる。経験や考えを共有して関係を深められる貴重な場になっている。

 

100年永続する企業でありたい

最後に関口社長に会社の目指す未来を伺った。

 

「100年永続する企業でありたいです。続くことは、世の中から必要とされているということです。会社って続いているだけでも価値があることだと思います。続けるためには、世の中の変化に順応していくことが大事です。理想は、今いる従業員の子供たちが『お父さんやお母さんの会社に入りたい!』といってくれる会社でありたいですね」

 

これから先、㈱マン・マシンインターフェースのさらなる発展に期待大です!

 

編集後記

取材前はIT企業というと少しドライな印象だった。だが今回、社員・仲間との繋がりや居場所づくりに尽力する関口社長のお気持ちを聞かせていただき、その印象は一変した。変化の激しい時代を生き抜くための経営戦略であることはもちろんなのだが、同社に関わる人々は、一過性の集まりではなく、共同体の一員なのだ。私はそれこそが同社の強みであると感じる。

 

こういったところは表には現れにくいが、働く上で、どんな諸条件よりも重要な要素であったりする。八王子には多くの大学、専門学校がキャンパスを構えていて学生も多い。だが卒業すると都内や地元に戻って就職する方がほとんどと聞く。ぜひIT企業への就職を目指すなら、八王子の魅力ある同社・IT企業にも大注目だ。

 

(取材日2023年9月21日)