CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第94回 (株)コスモ計器

『暮らしを支えるお手伝い』

取材先 株式会社コスモ計器(代表取締役 古瀬智之社長)

所在地 東京都八王子市石川町2974-23

電話 042-642-1357

URL  https://www.cosmo-k.co.jp/

           ①  代表取締役・古瀬智之氏

 私たちは、日々の生活において、無くては困るものの1つに「自動車」と言っても過言ではない程に、その恩恵を受けている。その中核となる、自動車エンジンには、燃焼ガス・冷却水・潤滑液が通る3つの空洞があると言う。これらは、1か所でも漏れがあると、生命に関わる重大な事故に繋がり兼ねないだろう。

今回取材に訪れたのは、これらの空洞に一切の漏れがあってはならぬ様、独自のテスト機器を用いて、日々の生活の安全に多大なる貢献をしている「株式会社コスモ計器」代表取締役社長、古瀬智之氏にお話を伺った。

 

また、古瀬氏は、同社代表を担うのみならず、平成27年度よりサイバーシルクロード八王子会長として、日々のサイバー事業に多大なるご協力を頂いている。先代からの事業承継をはじめ、今後のコスモ計器について、様々なお話を伺った。

 

突然の事業承継

父であり、コスモ計器の創始者である先代・古瀬清氏は、もともとは狛江市にあった飛行機用の計測器メーカーのエンジニアだった。ある日、飛行機部門ではなく、自動車エンジンの機密性の試験をしたいという依頼を先代が請け負い、そのアイデアを以て、現在のコスモ計器があるという。50年程前では、空洞の開口部を塞ぎ空気の圧力をかけ、水中へ沈めた際に漏れてくる気泡の具合で漏れテストを行っていた。だが、金属部品である為、錆への懸念をはじめ、人間の目で確認を行わなければならない点や、漏れの具合が推定量でしか把握できないという問題点が多々あった。これらの工程を一貫して機械化し、空気の圧力を以て漏れの具合を計測する機器を先代が発明し、現在に至っている。コスモ計器では、これらの「漏れテスト計測器の製造・販売」、また「漏れテスト用の設備の製造」「メンテナンス・サービス」の3つを重要な柱として、日々取り組んでいる。中でも、メイン商品「エアリークテスター」は国内外問わず、多くの需要があるという。入社時のことを「自分自身も理工系が嫌いではなかったので、当然にしてこの会社を手伝う運命にあるというのは念頭にあった。大学も機械科を選び、計測関係の学科を卒業し、強要されることなく自らの意思で、且つ自然に(コスモ計器に)入社した。入社時は、エンジニアとして設計の仕事をした。」と古瀬氏は話してくれた。だが古瀬氏が入社してわずか3年程経った頃、先代が突然、病に倒れ、不在になりがちになってしまった。当時は従業員数も50名弱程度であり、先代はワンマン社長の気質があったそうだ。故に、方針や今後の展開も全て先代自らが作っていた為、いなくなってしまった時には会社の仕組みというものが全く無くなってしまった。古瀬氏は「今、儲かっているのか、いないのかさえも良く分からない状況だった」と話す。

先代不在の状況で、エンジニアとして入社した古瀬氏が、まず初めに取り組んだことは、若手社員でプロジェクトチームを立ち上げ、財務会計ソフトの導入、人事関係・昇給等、会社の仕組み・規定を作り上げることに注力したそうだ。古瀬氏は「いま思えば、ちょっとした創業のようだった」と笑いながら話してくれた。それから13年後、37歳で先代が亡くなり、事業承継を経て、株式会社コスモ計器の代表取締役となり、今日に至っている。

コスモ計器だからできること

コスモ計器のメイン商品とも言える検査用機器「エアリークテスター」は、全数八王子工場で製造している。それに使用される部品類や電子基板等は近隣工場へ委託している為、製造にかかる人員的にはさほど多くないそうだ。また、検査装置に関しては、依頼あっての製造販売となる為、年間で数台しか生産しないという。では、コスモ計器の最大の特徴となるのは何か。それは「営業」と「アフターサービス」に圧倒的な人員を費やしていると古瀬氏は話してくれた。そもそも、コスモ計器の提供する商品は、顧客が自由に使いこなすことが難しく、現場でのフォローが絶対的に必要であり、「現場での人海戦術を行う」、それが1つの営業方針にもなっている。それ故、コスモ計器では150名の従業員のうち50名以上、国外においては更にプラス100名が営業、サービス人員だそうだ。一般的に、経営戦略的に言えば、ある商品を模倣して作ることは可能であるが、既にトレーニングされた人間を現場に配置し、そこから現場へ出向く体制を作るというのは模倣が難しい。コスモ計器の様に、これ程までの人員を以てサービスを行う事は、コストや時間を費やす為、同業他社もなかなか真似できない、コスモ計器の大きな強みであると言えるだろう。コスモ計器という会社は、メーカーではありながら、限りなくサービス業に近いのである。反面、コスモ計器の営業では、顧客にとっては手間はかからないが、人間を以てのサービスである為、商品にその分の値段が上乗せされることはやむを得ないという。営業エリアは全国各地、また海外にも拠点を設けている。国内では、関東をはじめ、栃木・宮城・浜松・名古屋・大坂・広島・北九州等、大手自動車メーカーが密集しているところにはいつでも出向くことができる体制は整えているそうだ。海外においても支店・代理店は数多く置いている。

主な取引先は、エンジンを製造する自動車メーカー、トランスミッション・ブレーキ・インジェクターを始め、ワイパーモーター・ガソリンキャップ・ガソリンタンク等の自動車部品メーカーだと古瀬社長は話してくれた。コスモ計器では、その他に携帯電話やガスレンジ・ユニットバス配管・洗濯機等の試験も請け負っているという。あらゆる用途で、様々なところにあるが、国内では6割、海外では9割以上が自動車関連だそうだ。

近年では、自動車メーカーの半分以上が海外で製造している状況ということもあり、平日は社長業、土日はサイバーシルクロード八王子へ出講して頂く事も多い中で、古瀬氏は海外出張も非常に多く出向いている。

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メイン製品「エアリークテスター」

 

 

従業員との関わり

 コスモ計器の最大の強みは「人間によるサービス」だと先に述べたが、ではその教育制度はどうなっているのか尋ねてみた。
コスモ計器では、新卒採用は積極的に行っており、営業職での採用の場合でも半年間は工場でものづくり、メンテナンスの研修を行う。工場研修を経て、営業へ配属された後も、はじめは先輩社員とマンツーマンで同行訪問をしながら、徹底的に仕事を覚えさせている。他に売っていないものをコスモ計器では取り扱っているため、誇りを持って仕事に取り組む社員は多く、社員定着率は上々だそうだ。
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海外支店においては、現地の人間を日本国内へ呼び寄せ、教育を行い現場へ戻した後、今度は教官的な立ち位置の人間を海外へ出張させ、仕事を教えているという。場数はもちろんだが、人間を以て教育すると言う方針は、コスモ計器だから可能な方法なのではないだろうか。
反面、社員評価はというと年に2回の面接の場を設けて長らくの間は決めていたそうだ。一社員の能力・積極性・業績の分野をそれぞれ点数評価しているという。仕事の中で力が発揮できたことを点数化することによって、仕事の中でパフォーマンスを発揮しやすい人・しにくい人が、なんとなく分かれてしまう為、近年、古瀬氏はこのシステムに疑問を感じ新たな社員評価の制度を模索しているそうだ。部署あるいは個人の今後の目標を明確に設定し、その目標に対しての課題意識を限りなく分かり易く理解させることに努めているという。その為に古瀬氏では、社員個人の「スキルマップ」を作成し、個人の強みや特徴を明確化した上で業務の割り当てを行っていくことを今後の1つの方策として考えているそうだ。社員の強みを生かすか、弱みを補うか、それによる仕事のペアリングをどうするか等、ある程度の教育システムは現段階において完成形に近いものの、常に模索していると言う。

社長の立場ともなると、さほど頻繁に従業員とのコミュニケーションがとれるものではないが、古瀬氏はトップマネジメント及び各本部マネージャーとの打ち合わせを定期的に行う事で全社的にカバーを図っている。その成果もあって、どの部署でどういう課題があるかを共有することが出来るが、やはり大きなテーマとして共通しているのはどの部署においても「人材育成」だという。

 

“二代目社長”という職業との向き合い

突然の事業承継を経て、様々な困難にぶつかりながらも「社長職」としては早20年を迎える古瀬氏だが、仕事に対してはどう思っているのかを尋ねてみた。「仕事は楽しいですよ。創業社長は自分の事業に対しての思い入れがあり、育てて顧客に喜んで頂くことに楽しさを見出している場合が多いかもしれないが、2代目社長の場合には先代が勝手に創ったものであり、その経験はない。“2代目経営者”という職だと思っている。だがそれを自らの代で作り込んでいくことは苦しいことも多いが、最終的に働いてくれる人がやりがいを持って楽しんで取り組んでくれることに着目してやっていけるようになったことで、楽しいと思えるようになった。」と話してくれた。⑤土日はサイバーシルクロード八王子の事業に出講して頂くことも度々あり恐縮だが、週休2日はしっかり休むという古瀬氏。休日は、専ら趣味に専念しているようだ。子供時代より「的に当てる」ことが好きだったという古瀬氏だが、最近ではアーチェリー場に通うことも多々ある様で、意外な一面が垣間見れたような気がした。

コスモ計器が目指すこと

最後に、今後のコスモ計器の目指す姿を尋ねてみた。古瀬氏の目指している「完成形」は、研究開発から顧客へのマーケティング、品物作り、顧客への検査装置提供、アフターサービス及びそれに付随する諸々のものを連動させることで、顧客に認めて頂けるような価値を提供していくことだそうだ。だが、ここに辿りつくまでには、それらを提供している従業員1人ひとりがやりがいを感じながら協力し合って行動していかないことには、完成しないものである。その為に、現場の社員がやりがいを持って楽しく仕事が出来ている環境、職業性のストレスが限りなく低く、職業性の満足が限りなく大きい状況を作れるようにしたいというのが、今後のコスモ計器の目指すべき姿であると古瀬氏は話してくれた。「人間というものはいつ動けなくなるか分からない生き物なので、早くこの姿を作り出したい。そしてこの姿を定着させ、自律的に発展していけるようにしたい」と力一杯話してくれた。名称未設定-1

 
編集後記
古瀬社長には、日頃よりサイバーシルクロード八王子で行っている多くの事業に多大なるご協力を頂いている。様々な助言やアドバイスを頂く会話の中でも、古瀬社長が対人間への接し方を重んじているのは、ひしひしと伝わってくる。我々も度々、コスモ計器に伺うことがあるが、いつ訪れてもそこですれ違う従業員は笑顔で満ち溢れている光景は非常に印象深い。その背景には、古瀬社長が事業承継を経てから今日に至るまで、また今後においても「従業員の満足」というテーマととことん向き合っているからこその、光景なんだと今回の取材を通じて改めて感じる事が出来た。「社長に愛されている従業員」が多く在籍するコスモ計器は、今後の日本をはじめ、海外でも自動車業界を支える唯一無二の存在になるに違いないと感じた。

(取材日2015年11月19日)