CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第79回 第一合成(株)

「文化財」と「静電気対策」を2本柱としたユニークなものづくり

取材先 第一合成(株)(代表取締役 河野 良子)

所在地 八王子市元本郷町1-25-5

電話 042-628-1100

e-mail info@daiichigosei.co.jp

URL http://daiichigosei.co.jp/

第一合成 河野 良子さん

みなさんは遺跡発掘の現場と聞くとどんなイメージを抱くだろうか?過去の歴史をひもとく重要な鍵であり、ロマンを感じる方もいるのではないだろうか。そんな遺跡発掘の現場で使用される機材を設計開発している会社がここ八王子にある。今回おうかがいした第一合成では、大きく分けて2つの事業分野をもつ。ひとつは文化財の調査・保存に関連して、いわゆる「文化財発掘のワンストップサービス」を提供している分野。もうひとつは、静電気対策用の搬送資材を扱う工業系製品の分野である。今回はユニークな経営をされている第一合成の河野社長にお話をうかがった。

 

 

なぜ遺跡なのか?今では文化財発掘のワンストップサービスを提供

創業者である河野社長の父が、プラスチックのコンテナ製品の販売を中心に全国を飛び回っていた。あるとき父が発掘現場で仕事をする機会があり、その現場では、遺跡を運び出す際に、木箱を利用していた。しかし、木箱を使った作業は、落として怪我をする人も多く、また箱自体が大変重くなり現場での重労働になっていることに目をつけた。そこで、「プラスチック製の箱であれば、作業もより安全になり、効率化するのでは」と考え、自社の製品で文化財を運び出すトレーを開発。そこから遺跡との出会いが始まる。さらに遺跡の発掘に関して調べてみると「遺跡の発掘のための道具を専門で作るメーカーがない」ということが分かってきた。そこで、現場で使用する道具を自社で製品開発して徐々に取り揃えを増やしてきた。いまでは、文化財の発掘や保存に関係する製品は、100種類をこえ、搬送用のコンテナをはじめ、測定用のノギス、ラック、トレー、乾燥機などユニークな製品がズラリと並ぶ。文化財発掘のワンストップサービスはこうしてできあがり、全国の発掘の現場で使用されており、自治体や大学の関係の方からの注文も多いという。
 発掘した遺物を乾かすキャスター付き乾燥棚

 

  

 

「静電気対策」に特化した製品づくり

 静電気から電子部品を守り、工場まで安全に搬送するためのコンテナ

 

差別化戦略のポイントは何ですか?と伺うと、「第一合成でしかできないことをやりたい。そこを一番のポイントとしていこう。」と語る。唯一無二をモットーに第一合成ならではの商品の開発に特化していく。そもそもは、大手の家電メーカーとの取引の中で、問題点として浮き上がったのが「静電気対策」であった。デリケートな電子製品にとって、製品不良を起こす一番の大敵である静電気対策に焦点をあて製品開発を行ってきた。たとえば、ラックトレーというプリント基板搬送製品では、プリント基板1枚1枚がちょうど収まるようにそれぞれの大きさに合わせて、ラックに仕切りをいれることで、静電気からの保護はもとより、安全に効率よく搬送できる体制が整えられる。一品の特注の物から量産まで幅広く対応しており、自社で設計・開発をできる体制があるので、お客様のニーズにきめ細かく対応できるのが何よりの強みである。

 

 

顧客満足が最大のポイント。これからも文化と工業を守る企業。

河野社長が会社を継いだのが、今から3年前のこと。先代の父から事業承継をして、最初はいろいろと苦労はあったというが、2007年にエコステージを取得するなど、社内の環境方針を公開し、環境問題に対応した新しい製品づくりについても検討しているそうだ。
社長が一番重要視するのが、お客様の満足だという。「仕事は人と人とのつながりで成り立つのであって、取引先と相互に満足できるWin・Winの関係に立つことが何より大切で、お客様に思いやりをもって接し、社会の一員として役に立つことをわすれずに、こだわりをもって商品を提供し続けます」と力強く語っていただいた。文化財も今までは、発掘をメインとしてきたが、今後は、展示なども含めて、さまざまな展開を図っていく予定だと言う。「文化」も、「工業」も守る企業「第一合成」。工業に貢献する一方、文化を守ることをこれからも続けてゆく。
 軽く、熱伝導性の低い桐材を使用した収蔵箱

 

 遺跡展示用の土器の台座

 

 
編集後記
今回、取材をさせていただき、会社の強さの秘訣が、特化した製品づくりと徹底的にお客様ニーズを探り、一つ一つ製品にしてしまう強さだと改めて感じた。お客様からみれば、ここに頼めばすべてがそろうという、圧倒的な安心感を与えることにより、リピーターを増やしていくサイクルができあがるのである。今後も女性社長ならではの視点に立って、さまざまな製品開発をおこなってくれることをぜひ期待したい。
(取材日2009年10月7日)