CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第63回 (株)東京テクノロジー

生粋の研究開発者が理想の装置を作る!

取材先 (株)東京テクノロジー(代表取締役 奥寺 智)

所在地 八王子市片倉町446-8

電話 042-635-3044

e-mail okudera_satoru@technologies.co.jp

URL http://www.technologies.co.jp/company.html

代表取締役 奥寺 智さん

「より小さく、より速く、より大容量に」進化し続ける半導体。それを実現させるためにはナノレベルの微細加工技術が必要不可欠である。例えばその研究開発装置の一つとして使われる「電子線描画装置」は、通常であれば数十億するほど高価なもの。それを安価で購入することができれば、世の中の研究者はどんなに助かるだろうか・・・・・。

 そんな研究者の願いを実現させた会社が(株)東京テクノロジーである。東京テクノロジーは、高精度・高性能でありながら数千万で購入できる簡易電子線描画装置を開発し、マイクロマシンやエレクトロニクス分野のイノベーションに大きく貢献している。今回は、代表取締役の奥寺智(おくでら さとる)さんを訪ね、お話を伺った。

 

 

“研究開発者魂”からの創業!

東京テクノロジーは、奥寺さん等2名の仲間と共に、平成5年に創業した。奥寺さんはもともと約30年間、大手電機メーカーと理化学機器メーカーを渡り歩いてきた根っからの「研究開発者」。「『ムリだ』と言われたモノ、人がやらないコトとかを実現させることが楽しかった」と奥寺さん。その“研究開発者魂”で、以前に在籍した会社でもX線分析装置や微物分析装置等、常に最前線の開発を行ってきた。

そして平成5年頃になると「ものづくり」は微細加工の時流に入り、マーケットに「電子線描画装置」が登場。その装置に“研究開発者魂”が駆られた奥寺さんは、「それまで培ってきた電子ビームの制御技術と精密位置制御技術で手軽で安価な描画装置を開発し、広く科学研究分野で役立たせたい」との思いから、東京テクノロジーを立ち上げたのだ。

東京テクノロジーのスマートなロゴ。

  

 

研究開発分野に貢献している電子線描画装置

東京テクノロジーの電子線描画装置。市販の電子

顕微鏡に付加できる優れものだ。

そもそも「電子線描画」とは、電子をビーム状に収束・加速して得られる非常に細い線で絵を描くことであり、ナノテクノロジーを支える重要な技術である。近年、マイクロマシン(超小型の部品から構成される機械装置)やエレクトロニクス分野では微細加工の傾向が著しく、これらの分野に携わる研究者の中では電子線描画装置の重要度もますます高まっている。

ところが、電子線描画装置は大型化が進んでおり、設備費用や維持費もかなり高額。重要度が高まっているのに決して研究者が手軽に使える状況ではないことが大きな課題となっており、研究者や教育現場の指導者からは、「『安価』であり『手軽に入力描画できる』システムが手近かにあったら・・・」というニーズが確実に増えてきている。

 

 

研究開発者に“パーソナル”な電子線描画装置を!

このような研究者の声に的確に応えたのが東京テクノロジーだ。「広く普及している既存の電子顕微鏡に描画機能を持たせれば低価格化が図れるのでは」と着目。東京都の起業化助成事業を活用して様々な工夫と開発を重ね、見事高性能のままで低価格な製品開発を実現させたのだ。市販の電子顕微鏡に附加することの出来る東京テクノロジーの描画装置は、描画専用機と比較してコスト面で優位性があるほか、描画パターン作成後に電子顕微鏡としてパターンの観察が出来る。すなわち微細パターンの作成と作成したパターンの評価も同時に出来る画期的なモノなのだ。

その後東京テクノロジーは、大手電子顕微鏡メーカー2社と業務提携を行い、全国各地の大学・研究機関に電子線描画装置を積極的に販売。多くの研究者の「無くてはならないツール」となっている。

こうした東京テクノロジーの電子線描画装置のパフォーマンスは、奥寺さんご自身の「研究開発者」としての思いに起因している。「研究開発者にとって理想な研究設備は、次の3点です。まず『研究者の自由な発想が容易に実現できる製品である』こと、次に『個性ある研究目的にも柔軟に対応できる製品である』こと、『リーズナブルなコストである』ことです。」と奥寺さん。「今後はさらに改良を加え、より小型そして高性能化することにより卓上型の装置も視野にいれており、大学などの研究室内でより扱いやすいものにしていきたい」とその夢は大きい。 東京テクノロジーは、今後もこの理念を製品の中心に据えて、事業を展開していくことだろう。

忙しい中、本当にご丁寧に対応して頂いた奥寺社長。

 

次世代の研究開発者卵の育成へ

東京テクノロジーにお世話になった学生の論文。

本棚にはすごい数の論文があった。 

奥寺さんは「次世代の研究開発者」にかける夢も大きい。創業時から、地元八王子の大学院生、高等専門学校の学生をはじめ、海外からの留学生などに自社内にある電子線描画装置を無償開放し、学位論文や卒業論文の作成の手助けを行っているのだ。高価な電子線描画装置を無償で活用することができるのは、学生にとって何と有難いことだろうか・・・。「論文の提出時期が迫ると、徹夜で使用する学生もいます。」と奥寺さん。当然のことながら、その間は奥寺さんがフォローをしなければならない。根っからの「研究開発者」ゆえ、奥寺さんは有望な“卵”の育成には力が入る。
 “ナノテクノロジー”という「ものづくり」の最前線にありながら、人材の育成を通してさらにその未来を見つめる東京テクノロジー。これからの活躍を大いに期待していきたい。

 
編集後記
「ナノテクノロジー」という用語が新聞紙上で見られるようになって久しく、東京テクノロジーの事業はそのものスバリだ。

最先端の研究は金がかかる。だからできれば研究機器を安く購入したい・・・・ そんな研究者のニーズに的確に応えている奥寺社長。おまけに、未来の「ナノテクノロジー」研究者の育成にも妥協をしない。私はアナログな人間なので10億分の1メートルという肉眼で見ることができない世界に挑戦する方々はそれだけで「すごい」と思ってしまうが、奥寺社長のスタンスは最早「尊敬」に値する。

きっと奥寺社長のような方が、本当の意味の“イノベーション”を切り開いているのだろう。日本の将来のためにも、これからも頑張って頂きたいと思う。

(取材日2006年3月8日)