CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第53回 (有)アミネックス

得意は高精度機械部品加工

取材先 (有)アミネックス(代表取締役社長 峯尾 一幸)

所在地 八王子市散田町3-8-6

電話 042-664-0617

e-mail amx@crocus.ocn.ne.jp

URL http://www3.ocn.ne.jp/~amx/index.htm

代表取締役社長 峯尾 一幸さん

自動車、家電製品、航空機などあらゆる産業製品の製造工程に工作機械は不可欠である。その工作機械をつくる加工機は製品を生み出す機械ということから、『マザーマシン(母なる機械)』と呼ばれている。大きなものから小さいものまで多種に及ぶ産業製品の品質を保つためには、工作機械の良し悪しによるところが大きく、当然ながら、マザーマシンの手足となる部品の精度は、ミクロン単位の高精度が要求されるのである。そのあらゆる分野で使用されている機械部品加工を手がけ、金属加工において高い技術評価を受けている企業がある。それは、JR西八王子駅南口から徒歩1分にある有限会社アミネックスだ。今回はその代表取締役社長の峯尾一幸(みねお かずゆき)さんを訪ね、お話を伺った。

 

 

自動車部品加工から機械部品加工へ

アミネックスは、立川飛行機に旋盤工として勤めていた現社長のお父さんの峯尾幸吉さんが、そこで培った技術を活かし、飛行機の部品加工を行うため昭和14年に立川市で独立した。しかし、第2次世界大戦の東京大空襲で工場を焼かれてしまったため、今の八王子の散田町に移転し、戦争で被害を受けた織機の修理等を行いながら、力をつけていった。その後、取引先が拡大・安定したことから、自動車部品の旋盤加工を主たる業務とする(有)峰尾製作所を昭和31年に創業したのである。
 当時の峰尾製作所は、試行錯誤しながらも自社製品を作ろうと開発を進めたのであるが、設備と資金力不足から、あえなく部品加工に専念。加工技術を磨くことにウエイトをおい
   工場内の様子。見てわかるとおり非常に綺麗な操業環境である。
 ていった。「自動車部品でなく、ものづくりの原点である工作機械部品をつくりたい」と常々思っていた現社長の一幸さんは、特許3級弁理士の資格をとるため、学校に通いながら、工場を手伝っていたのであるが、昭和40年に一幸さんが工場長に就任するとその想いを社長に伝え、会社としてのコアを機械部品加工にシフトしていくことになる。まさに、このときの決断が今のアミネックスの活躍に繋がっているのである。
 

 

高精度・高品質を持って対応できる企業へ

    安田工業の工作機。安田工業の工作機はなかなか敷居が高いため置けないそうで、八王子で設置している企業は2社だけだという。 機械部品加工を行なうといっても大手マザーマシンメーカーからの仕事を貰うことは、やすやすといくわけもない。「受注するためには、会社としてのレベルアップを図ることが必要だった」と峯尾社長は振り返る。その時真先に取り掛かったのが、工作機械の充実を図ることであった。それは、その頃、まだまだ一般的に導入が図られていないNC工作機械を三多摩地区でいち早く導入する等、会社として積極的な設備投資を行ったのである。それにより、加工技術が上がったことは言うまでもない。そして、メーカーにこまめに足を運び、小さな仕事から的確にこなしながら、地道に技術の信用・信頼を取引先に浸透させていった。
 さらに、昭和50年に一幸さんが工場長から社長に就任すると、「自社の技術向上は当然のこと、お客様のあらゆるニーズに応えるためには、他社とのネットワークの構築が不可欠」と更なる飛躍を求め、他社との協力体制を強固にしていったのである。その甲斐あって、アミネックスはいかなる要求にも高精度・高品質を持って対応できる企業に成長していったのである。

 

 

『匠の技』がアミネックスの付加価値を創出

アミネックスの得意としている技術は高精度機械部品加工。したがって多品種少ロットのものがほとんどである。例えば、面に対して複数穴をあけた場合の加工精度は、ピッチ(距離)精度で2/1000まで出せる。これは、単にひとつの穴の精度を出すだけではないので、高い技術を要するのである。峯尾社長曰く「同じような工作機械はどこでも持っている。精度を出すには、熱処理のタイミング等材料の性質を知っていて始めて可能となるものだ」。まさにこの目に見えない『匠の技』がアミネックスの付加価値となっているのである。
   その付加価値を維持するために、アミネックスは機械設備だけでなく会社の構造そのものにも、拘っている。まず中小企業では珍しい地下室を有している。それは、なぜか?「外からの振動を受けないように」と峯尾さんは言う。日常生活のうえでは、体で感じないだけで微振動はつきもの。そのため、地面から3m位までは外部から影響(振動)を受けるから、7mまで掘ったというのだから驚きだ。さらに、地盤自体が柔らかいとどんなに工作機械が優れていても、機械がよれてしまう。それでは、機械の持っている性能を十分引き出せないため、床壁の厚さを500mmのコンクリートをうち、揺れを防いでいるのである。「工場そのものが巨大定盤になっていると考えてもらっていい」という峯尾社長は、精度をだすための拘りを、自信を覗かせながら語った。
    加工中(上)や加工された製品(下)の一例である。材質を熟知することにより、精度をだせるのである。

 

自社製品への想い

      自社製品である研削機。OEM供給であるが、使う側の視点を重要視して開発された。 「完成品を持っていないと、不景気の時耐えられない」との想いから、アミネックスは自社製品の開発を9年前から再度取組み始めた。創業間もない頃から自社製品をつくりたいと思っていたものの資金不足等の理由から実現できなかったことは『今は昔』。平成7年に『エンドミル研削機』を完成させたのである。きっかけは「他社の研削機を使っていたが、使いにくいところがり、いっそのこと使いやすい機械を自分達で作ろう」と開発したのである。OEMでの供給ではあるが、200台を越える売上げの中、今まで「ノークレーム」。いかに使う側の視点にたって開発ができているか、また、アミネックスの技術が認められていることの証であるエピソードである。そして、2年後にはドリル研削機『ドリルポインターPRO』の開発にも成功。次々と自社製品を世に送り出している。
 そして、現在最も注力しているのが、『匠のくさび』と呼ぶ耐震装置である。何百年も前に建立された神社などの歴史的構造物は、柱等の乾燥によるゆがみを防ぐため、くさびを何回も打ち込み、長い年月を経過しても建物を維持していることに着目し、柱などが乾燥による収縮した時に、木痩せにあわせ自動的に締め込まれる、くさびの代わりの装置を開発した。「これを使えば、手間をかけなくても新築時の強度を保つことができる」と峯尾社長は語る。実用化に向け、その評価をある大学教授と連携をとりながら検討中というが、早く世に送り出してもらいたい。

 

 

創業環境を維持するための周囲への配慮

アミネックスはJR西八王子駅から徒歩1分のところにある。峯尾社長は「外部の情報が貰いやすいなど、駅に近いことは企業にとってアドバンテージ」と言う。それは、駅が近いことは、商社等の営業マンが寄り易いため、今ここではこういう動きがある等の外部情報をキャッチできる。また、商談の相手方も駅からタクシー代の請求も出来にくくなっている状況からも、駅からすぐに歩いていけるため、来社する方々の負担もないなど、加工技術のみならず、アミネックスの強みのひとつになっている。
 しかしながら、アミネックスは、この地での操業を維持するための、近隣に対する配慮も怠らない。地下室をつくり、壁を厚くしたことは前述したところであるが、逆に言えば外に製造音を漏らさないといことにも繋がる。また、スペース
      工作機の脇にポンプを備え、削りくずを自動で吸い上げて、地下のコンテナに収集している。収集業者が来て、そのまま持っていけるのである。
が限られているため来訪者等が迷惑駐車をしないよう、自社エレベーターを活用して社員の駐車場を屋上に設置し、駐車スペースの確保をしている。さらには、工作中の削りくずを自動で吸い上げて、工場内の床下のコンテナボックスに集めている。これは、業者が鉄くずを収集にきても、そのまま、撒き散らすことなく持っていくことが可能にするために行なっている。こういうように、駅近隣に立地し続けるためには、周囲の環境に配慮するアミネックスの目に見えない企業努力は欠かせないのである。
 21世紀に向け、平成12年に社名を峰尾製作所からアミネックスに変えた。その根源はアドバンス・ミネオ・エクセレントから取ったという。有限会社アミネックスは、名前に込められた卓越した技術で前進するのである。

 
編集後記
アミネックスは峰尾製作所を含め赤字を出したことはないと言う。「赤字体質の企業は時を経ても変わらない。黒字体質の企業も利益の大小はあるものの、体質は変わらない」と社長は分析する。その体質を維持するためには、企業努力が必要なのであろうが、確かなる技術によって結果を残してきている社長の言葉だけに、説得力がある。
 また、「有限会社に拘る」とも。それは、株式会社のように複数人の出資者に責任が及ぶのではなく、会社の責任はすべて自分でかぶるという意識からそうしているというのである。 話をお聞きして、言葉の端々に会社という大きな船を舵取る男意気と、温かさの両面を垣間見ることができた今回の取材であった。
(取材日2003年9月9日)