CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第45回 アイデックス(株)

コア技術で切り開く新境地!

取材先 アイデックス(株)(代表取締役 水口愼一)

所在地 八王子市楢原町594-1

電話 042-626-0071

e-mail info@hello-idex.co.jp

URL http://www.hello-idex.co.jp

代表取締役 水口 愼一さん

「輸送中の梱包箱で、一体何が起きているのでしょう?」

こんな言葉で始まるアイデックス社ホームページ内の「振動試験講座」。「もの」が「消費者」の手元に届くまでには、必ず物流が存在する。しかし飛行機や自動車などどのような輸送手段を用いても、輸送中の振動を完全になくすことはできない。出荷時では徹底した品質管理を行っていても、納品先で蓋を開けてみたら商品が壊れていた ── そんなトラブルを未然に防ぐのが、アイデックスの「振動試験機」と呼ばれるものだ。

 今回は、高価な振動試験機の常識を覆すコストパフォーマンスを実現し、独自の技術でニッチを目指すアイデックス(株)の水口社長を訪れ、話を伺った。

 

 

“時代のヒット商品”とともに

「振動試験機は、当時1,000万円近くもする非常に高価なものでした。各製造ラインごとの出荷前に使用できる、安価な試験機が求められていたのです」と、水口社長は創業時を語る。
 産業用計測機器を扱う商社に勤務していた昭和53年、米国出張の際に出会った電子機器メーカーの社長の一言で、この分野の可能性を確信する。折りしも、時代は半導体を中心とする技術革新が進み、急速に電子機器への需要が伸びていた頃。プラントや製造部門時代に築いたコネクションから、自社製品を開発するのに苦労はなかった。販路のパイプはなかったが、当時では珍しい安価な試験機の登場は、日経ビジネスなどマスコミがこぞって取り上げ、それを見た大手工作機械メーカーが導入したことをきっかけに、取引先は急速に拡大していった。
   秋川街道「楢原町交差点」からほど近いアイデックス社屋
  「VTR、8ミリビデオ、カーナビ、携帯電話等、時代のヒット商品と共に我が社も育てられてきました」。社長の言葉通り、アイデックスの「納入先リスト」を見ると、我が国の“ものづくり”をリードする名立たる大手企業がずらりと並ぶ。現在は、ホームページによる問い合わせも多く、幅広い業界から照会がある。
 

 

転ばぬ先の杖~信頼をお届け!「振動試験機」

    振動試験機「BF-50UT」は、主に食品関連の輸送梱包試験を行えるパッケージモデル。設置スペースはわずか1m2! 「振動試験機」は、部品・機器の耐振・耐久試験、輸送中の共振環境を想定した検査、製品の潜在不良を抽出するコンパクト設計のテストシステムだ。特許を持つコア技術の“振動発生装置”はローター式で、他の追随を許さない特殊な振動の生成を可能にする。自動車関連やコンピュータ、通信機器などの電子機器製品はもとより、最近では牛乳パックやビスケットなどの食品関連、化粧品の損傷試験、またラベルのはがれ方の検証や梱包方法の検討に利用されるなど、その応用範囲は広い。1,000kmの道路を実際に走行したのと同じ結果が、20分で出せるという。用途に応じて様々なバリエーションが用意されているが、価格が50万円~200万円と安価なのが非常に魅力だ。メンテナンスフリーで、「15年以上ノートラブルで稼動しているものもある」という装置の耐久性、信頼性も、ユーザーから高い評価を得ている理由の一つだろう。

 

 

コア技術を活かす「振動式パーツ整列機」

順調な滑り出しを見せたアイデックスだが、バブル崩壊のダメージは“澱”のように残る。かといって、大手企業による製造ラインの大規模な海外移管、外資にラインそのものを売却する動きなど、産業構造の変化による市場の縮小を黙って見ているわけにはいかない。

そこで、現在力を入れている商品が「パーツ整列機」と呼ばれるものだ。これは当社のコア・コンピタンス“振動”を応用して、これまで人手に依存していた電子部品、微小部品の選別、整列作業を、目的に応じてさまざまな材質に加工・処理を施した「パレット」上で行うというもの。整列だけではなく、表裏の選別やパレットを重ねることにより組み立て行程の一部も自動化することができ、飛躍的なコストダウンが図れるとのことだ。パレットの穴の形状や加える振動には、他社には真似のできないノウハウが凝縮されている。“砂粒”のようなコンデンサーが、わずかな時間で天地違わずパレット上に整列する様はまるで手品を見ているようだ。

「中小企業にとって製品開発とは、正に企業の命運がかかっているんです。大手は3つ作って1つ当たればいいが、我々には“一発必中”しか道はない。シビアな世界ですよ。それでも、お客様から感謝の声を聞く瞬間は、何物にも代え難い喜びです」と水口社長。顧客満足を第一義に掲げる社長の自負と心意気を感じる言葉だ。

      振動式パーツ整列機。この台の上に、整列させたい部品に最適な加工が施された「パレット」を載せる。
      整列可能な部品はチップやピン、リング状のもの、また材質もセラミックやフェライト、メッキ部品など様々。表裏選別だけではなく、「パレット」の組み合わせにより組み立て工程を自動化できる。

 

積極的に「産・産連携」~新たなパートナーを求めて

     ベーク・アルミ・ステンレス等のパレットは、ニーズに合わせてそれぞれ加工する。 水口社長は異業種交流や産学連携にも熱心で、当協議会主催の「テクニカルカンファレンス」や商工会議所のビジネスセッションにも積極的に参加している。しかし産学連携は、教授ではなく大学院生クラスが担当することも多く、卒業などで継続性が途切れてしまったり、基礎研究やデータ収集にパワーを注ぐ大学側との意識の違いを感じることもあった、という。
特に「パーツ整列機」のパレット加工や表面処理について、今後は「産・産」連携により力を入れていきたいとのことだが、なかなか求めているパートナーに出会えないのが現状だ。幸い、加工は市内の協力企業に技術サポートをしながらパートナーシップを築くことができたが、表面処理については秋田にまで商品を送っているという。高精度なパレットには、それだけ高い技術力が要求される。  「サバイバル戦術 Cost 1/2への挑戦」─── 応接室に掲げられたこの目標を実際にやり遂げたという水口社長。「意外にできてしまうものですよ」と何の屈託もなく語るその表情には、自社の持つ技術力への自信が漲っている。これからが本当の力の見せどころ、と言わんばかりだ。
     パレットの加工や表面処理には、一つのミスも許されない高精度な加工が要求される。水口社長がビジネスパートナーを求めている仕事の一つだ。

 
編集後記
看板商品「振動試験機」に続き、コア技術を活かして新機軸を切り開く「振動式パーツ整列機」。現在、大手電子機器メーカーの中国工場(1万人規模)から、「パーツ整列機」でコストダウンを図りたいという話が進められており、需要は海外でも伸びそうだ。
「産学連携の難しさ」は最近様々な場面で耳にする。それは大学の望む「成果」と企業が望む「成果」へのベクトルに微妙なズレが生じているのだろう。「大学への依存度をどのくらい企業側がコントロールできるか。企業も、知識レベルを相当高めていかないと産学連携は難しい」という社長の言葉が全てを物語る。
 ならば、“志”を同じくする「産・産連携」の推進だ。まだ見ぬ“パートナー”との出会いをどうコーディネートしていけるか、気概に溢れた企業が各々の得意技を存分に発揮し、のびのびと立ち振舞えるステージをどうセットしていけるか。これは正に協議会のレゾン・デートル、身の引き締まる思いだ。
(取材日2003年7月28日)