CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第5回 アートシステム(株)

技術力もさることながら、やっぱり人ですね

取材先 アートシステム(株)(代表取締役社長 有賀正)

所在地 八王子市横山町10-2 アクサ生命ビル7F

電話 042-643-1313

e-mail t-ariga@art-system.co.jp

 
通信制御ソフト開発を得意とするアートシステム(株)

アートシステム株式会社は、浮き沈みの激しいソフトウェア業界にあって、普段何気なく使っているターミナルアダプタやルーターを制御するためのソフトウェア開発で着実に実績をつくっている会社である。今回は、その代表取締役社長である有賀正(ありが ただし)さんと専務取締役の有賀政人(ありが まさひと)さんにお話を伺った。

 

 

時代の変化に柔軟に対応する、『しなやか』な経営

社長の有賀さんが10年間勤めていた会社から独立して創業したのは1990年のこと。当時は、金融機関などの情報処理業としてスタートした。しかし、バブルが崩壊すると、「情報処理業に限界を感じた」社長の正さんは、思い切って業態を転換。プログラム開発の技術者として弟の政人さんを呼び、ルーターやターミナルアダプタの制御ソフトの開発に力を入れ、着実に業績を伸ばしてきた。
 近い未来、時代はブロードバンドが主流となり、ターミナルアダプタの需要はなくなってくると予見する政人さん。その対策として携帯電話用の通信制御ソフトやLANスイッチの開発を手がけはじめている。こうした時代の変化に柔軟に対応した「しなやか」な経営姿勢は、浮き沈みが激しいソフトウェア業界の中で生き残るためのキーファクターかもしれない。
     有賀正社長の先見の明があったからこそ、現在のアートシステムがある。
 

 

畑違いの兄と弟はベストミックスの経営陣

アートシステムは正さんが営業・財務部門を、政人さんが技術部門をそれぞれ総括して、絶妙なコンビネーションで会社を引っ張っている。この体制は、創業後3年ほど経って、業種転換をした際に、当時他のソフトウェア会社に勤務していた弟の政人さんを呼び寄せたことから始まった。以来、政人さんが技術部門のチーフとなり、技術者を引っ張っている。
「兄弟で経営にあたっていて、衝突はなかったのですか?」と聞くと、弟の政人さんは「兄と私は畑が違うから会社がうまく回っているんですよ」と答えた。こうしたお互いの信頼関係が今日のアートシステムの原動力なのだろう。
有賀社長(左)と有賀専務(右)の絶妙なコンビネーションがアートシステムの原動力だ。

 

 

この業界は技術力もさることながら、やっぱり『人』ですね

「どんなに高い技術を持って製品をクリエイトしても、それが売れなければ意味がない。やっぱり、この業界は技術力もさることながら、最後は”人”ですね」と政人さんは語った。その政人さんがアートシステムに移籍した後も、前の会社で付き合いのあった顧客と今でもつながっているのはその証明である。それには、顧客との信頼関係を築くことが最も重要になる。アートシステムはユーザーに対して『誠心誠意』対応することをモットーに企業活動をしているそうだ。
 アートシステムのオフィスに入って見てまず驚くのは、社員がほとんど席にいないことだ。「最近の制御系ソフト開発はユーザー企業に出向いて開発するケースが多いんです」とのこと。
    アートシステムの技術部門を支える政人さん。技術者には技術力は勿論のこと、人間性が重要とのこと。
  アートシステムの技術部門を支える政人さん。技術者には技術力は勿論のこと、人間性が重要とのこと。 そうなると、技術が優れていることはもちろんのこと、取引先の企業での人間関係が非常に大切になる。こうした顧客に対して誠心誠意対応するという細かな配慮の積み重ねが、アートシステムの真髄なのだろう。

 

産学連携で、八王子に期待しています

    TV会議システムの装置。こうした装置を制御するためのソフトウェアを開発している。 創業前に社長の正さんがたまたま八王子市内で働いていたことから、地の利も知り、顧客も多いことから八王子で設立されたアートシステム。しかし、現在は都心部の顧客とのやり取りが多く、「八王子に立地しているメリットはなかなか享受できていない」という。とはいえ、ターミナルアダプタの制御から、携帯電話の通信制御ソフトへとウェイトを移すと同時に、携帯電話用にアプリケーションの開発も手がけたいと展望を持っている。

「八王子にたくさんある大学の豊富なシーズは魅力」と正さん。さらに、「産学連携といっても今まではどこに話を持っていけばいいのか分からなかった。サイバーシルクロード八王子を通して産学連携による共同開発も視野に入れたい」と力強く語ってくれた。

 
編集後記
通信制御ソフトを開発していると聞き、モノが見えないだけに非常に地味に感じた。しかし、通信機器内部で動く制御ソフトがなければ、我々はそうした機器を使うことができないし、機器のセットアップなど結構複雑な設定が必要だ。大抵、そうした機器にはユーティリティソフトが添付され、そのとおり進めればセットアップが完了するようになっている。アートシステムでは、そうしたユーティリティソフトも開発している。まさに、我々が気軽にIT機器を使うための縁の下の力持ちなのだ。
 技術革新が目覚しい業界だけに、次なる展開が気になる。新たな開発をするためにはそれなりの投資が必要であるが、有賀社長の柔軟な発想から、携帯電話用アプリなど時代を的確に捉えた展開を視野に入れている。地味ながら、今後ますますの活躍に期待したい。
(取材日2002年5月7日)