CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第56回 (株)日野エンジニアリング

コンピュータのことなら当社におまかせ!

取材先 (株)日野エンジニアリング(代表取締役 遠藤正美)

所在地 八王子市高倉町60-7

電話 042-656-1161

e-mail info@ hinoeng.co.jp

URL http://www.hinoeng.co.jp/

代表取締役 遠藤 正美さん

『FA・産業に関わるコンピュータシステムをつくりたい!』『現場の監視システムをつくりたい!』等、コンピューターによる業務の効率化を求め試行錯誤している企業は多いのではなかろうか。そんな悩みを解消してくれる会社がある。それは、企業向けに、デジタル技術をはじめ、アナログ技術、マイクロコンピューターを駆使した省力機器や計測機器等の開発・設計を行なっている株式会社日野エンジニアリングである。同社は長年培ったエレクトロニクス技術で、ソフトでもハードでもいかなる仕様で、一品一様の提案に応えられることができるのだ。今回はその代表取締役の遠藤正美(えんどう まさみ)さんを訪ね、話を伺った。

 

 

設計・開発の充実を図って

日野エンジニアリング前身は、昭和39年にもともと、地元大手重電機メーカーに技術者として勤めていた、お父さんの遠藤喜美雄さんが、重電機メーカーの協力工場として株式会社日野電機を設立したところから始まる。高度経済成長の時期にあったその時代、「つくったものは売れ、こなしきれないほどの仕事が毎日黙っていても舞い込んでいた」順風満帆のスタートだった。しかし、会社としての経営方針に一石を投じる思いも寄らない出来事が起きる。昭和48年のオイルショックである。これにより仕事が激減してしまったため、「このままの親会社の事情に左右される、下請け的な仕事では見通しが暗い」と思った社長は、「自分達の持っている技術を独自にアピールして(活かして)いかないと勝負にならない」と昭和52年に日野電機に設計・開発部を設置することにしたのであった。1年後、その充実を図るべく、その部門を独立して誕生したのが、株式会社日野エンジニアリングなのである。
     北八王子工業団地に隣接する高倉町にある日野エンジニアリング。
 

 

顧客ニーズから自社製品誕生

      日野エンジニアリングの製作したパネルコンピューター。薄型で操作性も優れている一品だ。 技術を活かすとういうことから始まった日野エンジニアリングのコアは?というと、企業向けにマイクロコンピューターを利用した応用装置の設計・製作や制御システムの提案等である。独立した昭和50年代は「ぼちぼちデジタル技術が持て囃された時期だった」と当時を振り返る遠藤社長は、その頃から、大流行したインベーダーゲームなどのCPUに応用され、一世を風靡した8bitのZ80の応用をはじめ、受託開発で、ユーザーニーズに沿った一品一様の製品づくりを行ってきたのである。「受託開発は技術も製品もニッチなところで勝負できる。また、我々の技術(価値)はお客さんが見出してくれた」と遠藤社長が言うように、顧客ニーズからコンピューター技術を磨いていったのである。
15年前くらいから、会社をPRするのに、「何でも出来ます。マイコンが得意分野ですとういうのは、営業ツールとして通用しない」と、限界を感じていたその時副社長だった遠藤さんは、「自社製品をつくらなければ」と考え、平成7年に”マルチフレックス”という名のパネルコンピューターの開発に成功する。その標準そのままでは、数台しか売れなかったそうだが、おもしろいことに自社製品を開発したことで、それを改良し、オリジナルのシステムを作ってくれという注文が増えたと言う。その応用例をいくつか挙げると、セルフスタンドの監視システム、有名酒造メーカーの酒蔵の温度や湿度等を監視するシステム、ある企業が持っている自社変電所への突入電流を高速でサンプリングしておき、データを送信する監視システムなどがあるが、このように、日野エンジニアリングの技術は見えないところで活躍している。

 

 

最適な産業用コンピューターの提供

「要求されることは、はっきり言ってできないことの方が多い」と遠藤さんいたって謙虚だ。「できません!では先につながらなので、受けるようにしている。対応できれば次につながるから」。それは、「周辺企業で何が求められているのか等の、ニーズ動向をキャッチできるし、基本的なコンセプトは一緒のため、他の企業からの同等な要求に対しても応用がきく。更には、マルチフレックスの応用を受注することにより、システム全体での注文になるケースがほとんどで、付随する操作パネルや電源をつくってくれなど範囲が広がるから」であるが、日野エンジニアリングとして、対応できるコンピューター技術があるから語れる話である。
 個々のシステムの設計・製作は、お客さんの持っているアプリケーションにウインドウズをのせて色々なパターンを生み出す。「ハードディスクの品質がウィークポイント」と遠藤社長は指摘する。「今のウインドウズのパッケージには、使わないファイルが多数あるため、コンピューターがフリーズする要因や、ハードディスクの破損を招いている」と言うのだ。そのため、日野エンジニアリングでは、マイクロソフト社とウインドウズの使わないファイルをとり除くことの許可をもらうエムベデッド契約を結んでいる。これにより、顧客ニーズに合わせ、最適な企業向けコンピューターの提供を可能にしているのである。
     パネルコンピューターに顧客ニーズを取り入れできた応用例。要求されるものだけでなく、機能面の提案もできるのが、日野エンジニアリングの強みなのである。

 

異業種交流や産学連携は積極的に!

     マイクロコンピューターの応用例。試作・実験用から製品まで、また、部材調達から図面作成等、どの段階でも対応可能なのである。 遠藤さんは平成12年に代表取締役に就任した。平成7年に自社製品を開発したことも大きな要因であるが、重電機メーカーへの一社依存から脱却し、独立独歩で行こうと会社の方針を大きく変えたのは今から6年前。重電機メーカー側もお抱え組合はやめようという動きもあったことも追い風となり、現在は大手企業をはじめとする取引先が約50社まで増えた。そのようになるには、コンピューター関連の企業展示会に積極的に参加したことがひとつにある。成果を出すには、社長曰く「ローカルな展示会ではなく、東京のビッグサイトのような大きな会場でメジャーの展示会に参加することが必要だ」。それは、ローカルの展示会を否定しているのではないが、『真のパートナーを見つける』という来場している方々の意気込みが全く違うというのである。さらには、異業種交流や産学連携にも積極的で、TAMA産業活性化協会や東京都中小企業振興公社の異業種グループACT30などの会員にもなっている。これは、アンテナを広くはり、事業拡大を目指す日野エンジニアリングの方針なのである。

 

 

日野エンジニアリングならではの製品づくりにチャレンジ

異業種マッチング会で、日野エンジニアリングは、数々の成功を収めている。そのひとつを挙げると、都内にある工業用寒天メーカーと組んだものがある。これは、歯医者さんが虫歯の治療で、歯の型を取るときに使用する寒天を、マイコンを使い温度制御をして、溶かしたり固めたりする装置を開発した。販売は歯医者さんに入っている商社が行っているそうで、販売実績も好調だそうだ。
 そして、現在、最も注力しているのは、産学マッチング会がきっかけとなり、日大と筑波大の先生と提携した心臓バイパス手術の評価システムの開発である。それは、心臓バイパス手術後の患者の血流を計り、術後の容態を検証するシステムで、先生方は共同で特許を取得しており、実施を日野エンジニアリングというようになったのである。「医療システムなため、厚生労働省の認可をとらなければならない等、これから越えなければならないハードルは高い」。東京都の助成金の交付も決まり、実用化に向け、まさに奮闘中なのだが「この段階では成功と言わない。ビジネスとして成り立って始めて成功と言える。まだスタートラインに立っただけで、これからが本当の勝負。それには、事業規模も大きいため外部資本の導入も検討している」と遠藤さんは冷静に分析する。マッチング会では「会場で臆していてはダメ。自分の会社が何をやりたいのか。何ができるのか。はっきり決めておくこと。そして相手の懐に飛び込んでしまうほどの行動力をもつこと」が成功の秘訣であると教えてくれた。
「今後は、医療やエネルギーの分野で、培ったコンピューター技術を活かして、ナンバーワンでもオンリーワンでもないけど、日野エンジニアリングならではの製品づくりにチャレンジしていきたい」と結んだ遠藤社長が率いる日野エンジニアリングから目が離せない。
     「異業種企業と組んでものができても、製品化して市場にでないと意味がない」と 今後の展開を語る遠藤社長。

 
編集後記
まだ内容を発表できる段階ではないが、ある大学3校と共同で、もうひとつエネルギーの分野で、産学連携事業を展開中とも。本当に遠藤社長の行動力には驚かされるばかりである。さらに、1社依存から脱脚したことが、今の忙しさ(成功)に繋がったのですねという質問には、「まだまだ答えはでていない。これからだよ」と笑みを浮かべながら言う遠藤社長の顔には、自信が満ち溢れていた。
 忙しいなか、会社のことだけでなく、現在のコンピューター技術の変遷や種類のことなども詳しく教えていただいた今回の取材。受けていただいた遠藤社長に感謝申し上げるとともに、産学連携による製品開発は始めとする日野エンジニアリングの製品が、実用化される日が待ち遠しい。
(取材日2003年10月16日)