CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第97回 浜中園

「八王子の名産をつくる」

取材先 浜中園(浜中 俊夫 代表)

所在地 東京都八王子市犬目町385

URL       http://hamanakaen.com/

 

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◆浜中園代表 浜中 俊夫 氏

八王子で活躍する農家を多くの方に知っていただくため、Co.Hachiojiでは「中西農園」「浜中園」「番場農園」を取材させていただいた。

 中西農園代表の中西氏の次にお話を伺ったのは、パッションフルーツで注目を集めている浜中園代表の浜中俊夫氏だ。

 以前パッションフルーツをサイバー事務局にお持ちいただいた際、私は初めて実を手に取った。切り分けてくださった実は酸っぱくてとても美味しく、今年ファンになった1人である。

「パッションフルーツを始めたきっかけ」

  現在、浜中園では植木、野菜、パッションフルーツの生産をしており、パッションフルーツの割合が増加傾向にある。植木が7割、野菜・パッションフルーツが3割を占めているが、浜中氏が農家を引き継いだときは、9割が植木の出荷だった。

 畑は2町※と十分の広さではあるが、植木は苗木から何年も植えておかなければ売り物にならないため、それだけで農業経営は難しかった。また、出荷が年々減少してきたこともあり、野菜生産に力を入れ始めた。

 その後、農家仲間のお花屋さん、シクラメンを栽培している石川耕平氏(石川農園)から声を掛けられ、パッションフルーツと出会うきっかけを得る。石川氏は旅行先でパッションフルーツの美味しさに魅了され興味を持った。浜中氏は元々お母様が好んで栽培していたため、“美味しい果物”という認識があったという。

 共にパッションフルーツを栽培するメンバーがいる。メンバーは徐々に増え、現在は9名となった。元々は農家の集まりであり、みんな各自の経営がある。その中で、みんなでひとつの目標に向かい、協力し合うことはチーム戦のよう。浜中氏は「チームでしかできないことをしていきたい。」と意気込みを語る。

 

※ 町とは…面積の単位。1町 ≒ 9917.36 m2

「手間のかかる果物」

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◆パッションフルーツの花(引用:浜中園HP)

 南国のイメージが強く、八王子でパッションフルーツが採れることを知らない市民は少なくない。そもそも、会話に出てくることが少ないフルーツであり、スーパーマーケットにはほぼ置いていないのもその理由のひとつである。浜中氏は「もっと知ってもらいたい。八王子の果物、八王子の名産と言われる果物になってほしい」と語る。
 沖縄など暑い地域では5~7月に収穫できる果物であるが、八王子のシーズンは8月中旬~9月で、11月頃まで収穫することができる。その季節のズレを活かし、お客様に提供していきたいと考える。

 

 生産する品目数が増えると、知識や経験が必要になる。パッションフルーツを始める際は、様々な土地へ視察に行った。千葉、静岡、沖縄にも足を運ばれた。

 新しいことを始めるのは勇気が必要である。悩みや苦労で途中挫けそうになったかと伺うと、「失敗を恐れることよりチャレンジしたい。新しいことに取り組むことへの楽しみの方が大きい。」と明るく話した。

 

 パッションフルーツは高価なイメージがついてしまっているが、それだけ手間がかかっている。受粉は手作業で行なわれるのだが、花は1日で萎み、その1日を逃すと受粉できなくなってしまう。ひとつひとつの花に、人の手が加わることで実になるのだ。そう考えると、決して高い価格設定ではない。

浜中園③

◆パッションフルーツの実(引用:浜中園HP)

「ネット販売をスタート」

 最近の大きな変化は、ホームページができたこと。中でも、注文フォームから携帯でも注文できるようになったことだ。ネット販売は直売所に頼らず日本全国がお客様対象となる。現在は物流も進化しており、新鮮な状態で届けることができる。その効果は、サイトを立ち上げて2ヶ月弱で実感しているという。
家に帰って確認するのではなくスマートフォンで確認できるため、収穫中に確認・確保することができる。今までは、家にあるパソコンを確認するタイミングの問題があった。
しかしリアルタイムで注文数を確認することができるようになり、現在は夕方荷造りする際にスムーズ。注文から早いスピードで発送まで対応することが可能となった。
 浜中園TOP

◆浜中園HP

 

 また、ネットを通した新規顧客も狙いたい。なしやぶどう等、他の果物の農家には既に顧客がいる。近所の直売所で売れてしまいネット販売には手を伸ばさない農家が多い中、新規で始める浜中氏は顧客がいないところからスタート。

 「そんな中、最近ホームページから購入したお客様が気に入ってくださり、家族のために注文してくれたことが嬉しかった。果物の特徴は、買う人は買うが買わない人は買わない、絶対に必要なものではないところが難しい。しかし、そのご家族のようにパッションフルーツの美味しさを知り、誰かに教えたいと思ってほしい。より多くの方に知ってもらい、リピーターが増えていってほしい。」と話す。

「家族への想い」

 出掛けることが好きで、中でも体験型のイベントやスポーツをすることが好き。最近では、日帰り旅行でシーカヤックとシュノーケリングを体験したという。携帯でゲームをするのも好きで、お子さんと一緒にゲームをして遊ぶこともあり、よく収穫を手伝ってくれるのだそう。浜中氏自身も幼い頃から小学4年生の頃まで、お手伝いをよくしていた。5年生からはサッカークラブの活動に励んでおり、その頃からこの仕事を“いずれ継ぐことになる”と考えていた。

 浜中氏は24歳まで様々なアルバイトをし、社会経験をしてから農家を継いだ。アルバイトを始めてから片手間でできる仕事ではないと実感し、お金を稼ぐことの大変さを痛感した。「息子も社会経験をしてから自分の歩むべき道を決めてほしい。」と、父親の表情も見ることができた。

 

 

「これからの浜中園」


今後は果実そのものだけでなく様々な加工品を作りたいと話す。浜中氏おすすめの加工品とのセット商品の展開を狙う。キャンディー、ジュース、パンケーキ等、加工品販売に向けて地元の洋菓子店や飲食店とともに研究活動を行っている。炭酸で割ると甘酸っぱい爽やかなジュースになることや、お酒にも合うことを教えていただいた。
  また、学校給食に関わるようになり、改めて“安全なものを作っていこう”という思いを持った。「40歳を過ぎて子供たちの食育も考えるようになり、社会貢献をしていこう、と意識が変わった。」と浜中氏は言う。
そして目標は、売上を上げていき、農地を維持していくこと。家族旅行の時間を確保すること。年中忙しいが、家族との時間は作るように努めている。
 浜中園②
 浜中氏は既に事業を継承しているが、農家は引退がない。「これからも、父と母と嫁と常に一緒にやっていく」と家族の仲の良さもうかがえた。

編集後記
  今年は栽培本数を100本から170本に増やし、「このまま突っ走っていきたい」と意欲を見せる。「オリンピックやパラリンピックにも何らかの形で関わりたい。八王子としてだけではなく、東京の農産物として選手村へ出荷し、より広めていきたい。」と力強く語る浜中氏に、パッションフルーツが八王子の名産、そして東京の名産になる日も近いのではないかと感じた。
(取材日2016年9月6日)