CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第81回 (株)ミラック光学

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何があっても雇用を守る

取材先 (株)ミラック光学(代表取締役 村松洋明)

所在地 八王子市松木34-24

電話 042-679-3825

e-mail info@miruc.co.jp

URL www.miruc.co.jp

■設立/1963年11月 ■資本金/1,000万円 ■社員数/30名

■事業内容/顕微鏡及び光学関連機器の設計・製造、精密機械工具の設計・製造、

位置決め摺動ステージの設計・製造、人工知能ソフトウェアの研究・開発、

その他上記に関連する周辺機器・特殊品の設計・製造

 

 

 顕微鏡の設計・組み立てを行っているミラック光学。顕微鏡で培われた卓越した職人技と、技術を応用するアイデア力で唯一無二の製品を作り出している。

 リーマンショック・東日本大震災・コロナウィルス感染拡大など、厳しい経営環境が続く中、ミラック光学では一度もリストラを行っていない。危機感を原動力に変え、なんとしても雇用は維持するという強い意志がそこにはある。どのような状況でも雇用が失われないという安心が、さらなる発展に一役買っているのかもしれない。

 

 

自社の強みや魅力はなんですか?

 私たちの製品は、職人が手作業で精度を出しているので、ものすごく手間がかかっています。私たちのような中小企業は、その手間がかかる仕事ほどやっていかないといけないと思っています。そのような仕事ができる同業他社は日本にあと数社しか残っていません。私たちは、この技術を八王子で残していき、最後の一社になるまで生き残るという気構えで仕事をしています。熟練の技術だけでなく、特許権や意匠権などの知的財産権をたくさん取り、知財の保護をして他社が真似できない商品を作っています。特許権と意匠権、商標権、国際特許権などをすべて合わせると、97件に達します。(100件まで)あと3つです。これらの維持費はかなりかかりますが、非常に重要な武器になると考えています。
 またリーマンショックや東日本大震災などの時代の荒波に飲まれても、ミラック光学はリストラを1回も行っていません。皆さんの雇用は絶対に守りますと、社員に宣言しているので、みんなも安心して助け合えるところも強みの一つだと思っています。
 

 

どのような製品/サービスを提供されていますか?

私たちは、創業当時から工業用の測定顕微鏡を作り続けています。それをベースとしながら、顕微鏡のコア技術を活用して、横展開した、「アリ溝式ステージ」という検査装置の位置決めなどに使う精密機器を作っているメーカーです。ほかにも、顕微鏡のレンズの技術を応用して、画像認識用のレンズやテレビマクロレンズ、真空ピンセットなどの商品を提供しています。その他に、AIを用いた画像解析技術の分野にも進出しています。

5年・10年後、ミラック光学がなくなってしまうのではないかという危機感から、何か新しいことができないかと考えていたところに第三次AIブームと顧客からの相談がきっかけで始めました。レンズ等のハードウェアとAI等のソフトウェア両方を提供することができるので、ビジネスの幅が広がると考えています。

 

従業員に求める能力/スキルはなんですか?

 工業高等専門学校生やものづくりに関する学問を専攻している方で、ものづくりが好きな人がいいですね。好きこそ物の上手なれではないですが、ものづくりが好きな人にとってはとても楽しい職場になると思います。一昔前は、自分の技術を教えない・自分の背中を見て覚えろという風潮が職人の世界にあったのですが、ミラック光学にそのような風潮は一切ありません。みんなで技術を教えあって伝承していくということが根付いています。また、指示待ちでなく自分で考え、語れるような前向きな人物を求めています。
 

会社で働くやりがいを教えてください

 ミラック光学では、光学関連機器の製造を行っているのですが、高専で専攻していた電気回路やその他の学んだベースの知識と、PBL(※)を通じて光学系の技術も深掘りしたことがあり、これらが結びつき光学系の新しい知識の取得にも役立ちました。高専での学びを活かしつつ、ものづくりの一連の流れを体験できるところがとてもいいなと思っています。3年目で新製品の開発から営業まで様々やらせてもらっています。プレッシャーもありますが期待も感じますし、私もやりがいにつながっています。自分の仕事が世の中にどう影響しているのか、実感できるのも中小企業ならではと思います。

※課題解決型学習のこと。民間・自治体と連携して実社会で学ぶことで、より実践で役立つ力を身に付ける学習。

 

   技術部 三谷 祐輔

代表から一言

今まで、ミラック光学ではシニアの方が即戦力として入ることが多かったのですが、これからは新卒の方をどんどん採用したいと考えています。ミラック光学が作っている製品は、世界中に販売されています。私たちの商品は、メンテナンスが必要な商品ではないので、ネット通販に向いていると思っています。そういう点では、世界中で縁の下の力持ちになっていると思うので、技術を伝承しなら、新しいものを作り出すアイデア力を持っている方に期待をしています。

 

取材学生の感想

中小企業にとって好ましくない経済状況が続いている中で、リストラをしないという選択は、非常に勇気のいる決断であったと思うが、それが会社内の団結を高めることにつながっていると思います。会社が長く続いていることに安心せず、常に危機感を持って新しいことを始めようとする。そんなミラック光学のスタイルは、さらなる発展の手助けになると共に、ものづくりが好きな人にとっては最高の環境だと思います。

東京工業高等専門学校

電子工学科 4年 河合 瑠以